ラブピースクラブは1996年にフェミニストが経営するセックストイストアとしてスタートしましたが、当初から、生理用品を扱ってきました。プレジャーとケアは、女性の身体にとって同じように大切、という考えです。
ラブピスタートから約四半世紀が経ち、生理用品は驚くほどの進化を遂げています。未だに生理用品を買うときに茶色の紙袋に入れられたりなどという変な習慣は残っていますが、女性たちが自ら布ナプキンを提唱したり、月経カップや、吸水パンツなど、次第に選択肢が増えつつあります。それに伴い、生理についての話をきちんとしよう! という空気もうまれてきました。
とはいえ、性の話をしたり、生理や女性器に関する困っていることや、望んでいることなどを女友だちとシェアする・・・という経験が全くない女性も少なくありません。それはやはり、この社会で「男性の身体」が「働く身体の前提」として長い間考えられてきて、女性は生理があるから、女性は妊娠するかもしれないから、女性は結婚したら辞めてしまうから・・・などと「生理のある女性の身体」に対して、理解や尊重のない空気が社会にあることも関係あるのでしょう。
フェミニズムは、女性の身体を肯定し、女性の生き方の幅を広げ、深い自由を手にする思想です。だからこそ、生理の話はとても重要です。
ラブピースクラブは2019年11月から大阪の梅田大丸店で、生理用品を中心に扱う「MOONDbyLPC」をスタートしました。6人のスタッフの中に、中久保希穂さんという車椅子ユーザーが一人います。中久保さんは、「車椅子だと事務の仕事しかない。私は接客したい。人と話したい」と、百貨店の接客に応募してくれました。
中久保さんは、生後半年で脳性麻痺と診断され物心つく頃から車椅子で生活しています。社交的で、積極的に社会に出ていこうとする中久保さんでも、同じ車椅子ユーザーたちと生理の話をしたことは殆どないと言います。生理用品の選択肢もあまりなく、ずっと座り続けていることで骨盤底筋もとても弱いため尿失禁もあり、困っていることはたくさんあるけれど、その話はなかなかできないこと・・・なのだと言います。
でもいまなら!!!
誰もが車椅子ユーザーになる可能性もある。そして今、車椅子ユーザーとして、またそのサポートする立ち場の人として、何に困っているのか、どのような生理用品がいいのか、生理のときにどうしているのか、尿失禁や、デリケートゾーンのケアの話、痒くなったり痛くなったり・・・そういう時にどうしたらいいのか。そんなことを中久保さんが普段私たちにおしえてくれることを、皆さんとシェアしたいと思います。
障害を持ってこの国で生きる女性であることで、「我慢を強いられる」「なかったことにされる」ことがどれほどあるのか、その問題が全く見えていなかったことも含めて、中久保さんが語る生理の話は、非常に学びの多いものです。
実は6月に大丸梅田店で、中久保さんのトークイベントを行う予定でした。
がこのような状況になってしまいイベント自体がなくなってしまい・・・というわけで、だったらオンラインでやればいいまで! と今回企画しました。
ZOOMのウェビナーを使ったトークイベントで先着100名のシンポジウムですが、後日MOONDbyLPCやラブピのサイトでも公開してまいります。
シンポでは直接質問や、やりとりなどもできますので、車椅子ユーザーの方、支援者の方にご参加いただけることをスタッフ一同望んでいます。
【中久保 希穂(なかくぼ・きほ)】1991年7月4日に700gの超未熟児として大阪の下町に生まれる。 生後半年で脳性麻痺と診断され、幼い頃から車椅子で生活を送る。 オタク・ギャル・ヤンキーと、そして様々な職を経て、現在はMOOND by LPC スタッフとして百貨店にて勤務。現在一人暮らし10年目。
【山口敦子(やまぐち・あつこ)】
1983年生まれ。アダルトショップ、アダルトグッズメーカーを経て現在MOOND by LPC店長。過去の代表作はfantastick。同性パートナーと猫と暮らしている
【北原みのり(きたはら)】
1996年フェミニストの立ち場から女性のセクシュアルヘルス&プレジャーをサポートする「ラブピースクラブ」を設立。著書多数。
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